【ほん怖】ほんのりと怖い話まとめ - 【ほん怖】その崖は石を産む

【ほん怖】ほんのりと怖い話をまとめました!「怖い話は好きだけど、眠れないほど怖い話は読みたくない!」そんなあなたにぴったりな『ほんのりと怖い話』をお楽しみください。
【ほん怖】その崖は石を産む

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その崖は、石を産む。

斜面のあちこちに顔を出している石が、
数年かけて露出し、ごろんと転がり落ちる。

斜面が削れるわけではない。

地中から、
何かの力に押されて出てくるとしか思えないという。

石の大きさは両手で抱えられる程度で、
村の娘数人が山から運び降ろしてくる。

広場に石が据えられると、
焚き火が始まり、炎は石を包む。

石の表面が熱で割れ、弾けて飛び散ると、
村人はその破片を拾い、
皮で作った小袋に入れて御守にする。

この御守、持ち主の危険を察知し、
持ち主の身代わりになって袋の中の石が粉々に砕けるという、
不思議なご利益がある。

事故や大病で人が死ぬと、
所持している御守を確認するのが村での習慣になっているが、
ほとんどの場合、石は砕けていない。

持ち主が大きな事故に遭ったり、
大手術で助かっても、石が砕けている事はなく、
普通に日々を過ごしている中で、ある時ふと気付くと、
石が粉々になっているのだという。

どうやら、持ち主が察知できない危険や、
大変な災厄を事前に取り込んで砕けてしまうらしい。

そして俺の御守はどうかと思って見てみるが、
石は何でもない。

小指の先ほどの平たい破片が、
いつもどおり皮袋の中にある。

村民でない俺にはご利益がないのか、
あるいは、いつか砕けるのか。

その時が来るまで分からない。

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