×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
【ほん怖】ほんのりと怖い話をまとめました!「怖い話は好きだけど、眠れないほど怖い話は読みたくない!」そんなあなたにぴったりな『ほんのりと怖い話』をお楽しみください。
| |
スポンサーリンク
その崖は、石を産む。
斜面のあちこちに顔を出している石が、
数年かけて露出し、ごろんと転がり落ちる。 斜面が削れるわけではない。
地中から、 何かの力に押されて出てくるとしか思えないという。 石の大きさは両手で抱えられる程度で、
村の娘数人が山から運び降ろしてくる。 広場に石が据えられると、
焚き火が始まり、炎は石を包む。 石の表面が熱で割れ、弾けて飛び散ると、
村人はその破片を拾い、 皮で作った小袋に入れて御守にする。 この御守、持ち主の危険を察知し、
持ち主の身代わりになって袋の中の石が粉々に砕けるという、 不思議なご利益がある。 事故や大病で人が死ぬと、
所持している御守を確認するのが村での習慣になっているが、 ほとんどの場合、石は砕けていない。
持ち主が大きな事故に遭ったり、
大手術で助かっても、石が砕けている事はなく、 普通に日々を過ごしている中で、ある時ふと気付くと、
石が粉々になっているのだという。 どうやら、持ち主が察知できない危険や、
大変な災厄を事前に取り込んで砕けてしまうらしい。 そして俺の御守はどうかと思って見てみるが、
石は何でもない。 小指の先ほどの平たい破片が、
いつもどおり皮袋の中にある。 村民でない俺にはご利益がないのか、
あるいは、いつか砕けるのか。 その時が来るまで分からない。
PR コメントを投稿する
<<【ほん怖】一体何だったんだ…? | ブログトップ | 【ほん怖】山の夢>> |