【ほん怖】ほんのりと怖い話まとめ - 【ほん怖】コダマ

忍者ブログ
【ほん怖】ほんのりと怖い話をまとめました!「怖い話は好きだけど、眠れないほど怖い話は読みたくない!」そんなあなたにぴったりな『ほんのりと怖い話』をお楽しみください。
[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【ほん怖】コダマ

スポンサーリンク


昔、山で仕事をしてた時のこと。

仕事を終えて作業道を歩いて下っていたら、
上の方で妙な声がした。

「ホゥ」とか、「ウォ」みたいに聞こえるんだけど、
呼ぶ時にそんな声(山でよく通る声)を出す人もいるから、
誰かいるのかな?と思って上を見たら、

尾根の方に小さな人影が見えた。

拍手[2回]

逆光でシルエットしか見えないんだけど、
こっちを見てる様子。

俺も「オオゥ」みたいな声で答えたんだけど、
じっと動かない。

と思ったら、
こっちに手を振ってジャンプし始めた。

ワケわからんしこっちも疲れてたから、

「降りるぞー」

ってそのまま林道へ降りた。

先に降りてたおっさんが、

「誰かいたのか?」

と聞くので説明すると、
ちょっと嫌な顔をした。

「コダマかも知れん」

と言う。

「何それ?」

と問うと、

「人に化けて悪さをする。
昔は『コダマを見たら、その日は家に帰って一歩も外へ出るな』って言われてた。
夜中に呼ばれたり、戸を叩かれても、絶対返事をしてはいけない。
今はそんなことないかもしれないが…」

おっさんは、ひとしきりそんなことを言った後、

「念のため、今晩はお前も外へ出ない方がいいぞ」

俺はその頃、
駅そばの飲み屋へ毎晩のように通っていたけれど、
やっぱり気になって、その夜はおとなしく家に居た。

が、別に名前を呼ばれたり、
戸を叩かれたりはしなかった。

次の日の朝、
仕事の続きをしに作業道の入口までくると、
おっさんが先に来ていた。

いつもは先に来て、さっさと足拵えを済まし、
火を焚いて待っているのに、
なぜか軽トラの中でタバコを吸っている。

俺が近づくと降りてきて、
作業道の入口を指差した。

ウサギ2匹と鹿の死体が、
重なって置かれていた。

内臓が抜かれている。

一目見て吐きそうになった。

「今日は山へ入らない方がいい」

そう言われたが、
俺も仕事をする気にならなかったので、
これ幸いと引き返した。

その後も、その山の仕事を続ける気にならなかったので、
おっさんに頼み込んで、他の仕事師に代わってもらった。

おかげで年末にかけて金が足らなくなり、
飲み屋に行く回数も減ったけれど、
おっさんから、

「代わりの仕事師が大けがをした」

という話を聞いて本気でゾッとした。

何かに気をとられていて、
倒れてくる木の下敷きになったらしい。

もしかして、『コダマ』に呼ばれたのか?

PR