【ほん怖】ほんのりと怖い話まとめ - 【ほん怖】偽ベッキー

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【ほん怖】ほんのりと怖い話をまとめました!「怖い話は好きだけど、眠れないほど怖い話は読みたくない!」そんなあなたにぴったりな『ほんのりと怖い話』をお楽しみください。
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【ほん怖】偽ベッキー

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夏に山登りしてて、
途中で雨が降ってきた。

合羽とか持ってきてなかったんで、
どうしようかと思ったんだけど、
ちょっと手前に山小屋っちゅーか、
あばら屋みたいなのがあったなぁ~って思いだして、
そっこー引き返した。

あった。

拍手[2回]

道のそばにワリと新しめの小屋が、
崖へ張り出すように建てられていた。

とりあえず軒先借りようとしたんだけど、
屋根があんまり出っ張ってなくて、
降り込んでくる雨で濡れてしまう。

とっさにサッシのドアを引っ張ると開いた。

んで中に入った。

ガランとして殺風景な感じで、
空気が埃っぽかった。

隅の方に低い棚があって、
工具や木切れや段ボールなんかが置いてあった。

殺虫剤みたいな臭いがして、
それと埃っぽいのでイヤーな気分になったけど、
しょうがないんで、床に直接座った。

そのまま、雨やまねーかな~って考えながら、
ドアに背を向けて窓から外をぼんやり見てた。

気が付くと、
窓の隅に女の子が顔がのぞいていた。

中学生くらい?

目が大きくて色白で、
日本人形をバタ臭くしたような顔だった。

ベッキーが前髪揃えてる感じかな?

ちょっと違うな。
まあいいや。

とにかくその偽ベッキーがこっちを見てる。

なんだよ、小屋に入りたいのかよ、
なーんて思ってドアの方を指差した。

すると、こっちを向いたままの顔がスーっと窓枠の下側にそって横に動いて、
そのまま向こう側に姿を消した。

その動きに、
なんか凄い違和感を感じた。

窓の外を歩くにしたって、
フツーこっち向いたまま横に歩くか?

それに頭がぜんぜん上下に動かないで、
なにか滑るような感じだった。

と、そこで気がついた。

窓の外に人がいるはずがない。

その小屋は崖に張り出すように建てられている。

だから、ドアの反対側にある窓の外はやっぱり崖だ。

人が立って歩けるような場所じゃない。

ギッ…

背後でサッシのドアが開く音がして、
とっさに立ち上がった。

振り向きたいんだけど、
怖くてできない。

窓の方を向いて目だけで後ろを見ようとしたけど、
自分の肩までしか見えない。

スス…っていうか
カサカサ…っていうか、
とにかく人の足音じゃない、
大きな虫が這うような音が近寄ってきた。

もうガクブルなんだけど、
震えるばっかで一歩も動けない。

声もでない。

音は足元まできて止まった。

「………」

小さな声が聞こえたような気がした次の瞬間、
ふくらはぎを何かに噛まれた。
(その日は半パン姿で、ふくらはぎは剥き出しだった。)

「!!?*@*っpっt¥=!$%!?!!」

ワケの分からない叫び声を上げて、
噛まれた足をメチャクチャに振り回した。

サッカーボールくらいの何かが、
後ろに向かって放り出されたような感覚。

振り向くのも怖いし、
かといってこのまま小屋にいるのはもっと怖い。

だから、片足を後ろに蹴りだしながら、
けんけんで後ずさりしてドアに向かった。

今考えるとスゲエみっともない格好だけど、
その時は必死だったんだ。

やっとドアに辿り着くと、
思いっきり片足ジャンプして外に出た。

道に出た時転んだけど、
すぐに起き上がるとダッシュで山道を下った。

ふもとの駐車場みたいなところでやっと止まると、
さっき噛まれたふくらはぎを見た。

ノコギリの歯を押し当てたみたいに小さな穴がいくつも開いている。

それが歯形みたいに並んでた。

下山してすぐに医者に行った。

一応、化膿止めもらって塗ってたけど、
傷はすぐに直った。

今は何ともない。

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