【ほん怖】ほんのりと怖い話まとめ - 【ほん怖】光る海

忍者ブログ
【ほん怖】ほんのりと怖い話をまとめました!「怖い話は好きだけど、眠れないほど怖い話は読みたくない!」そんなあなたにぴったりな『ほんのりと怖い話』をお楽しみください。
[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【ほん怖】光る海

スポンサーリンク


それは、私が小学校4、5年の頃の体験です。

私の実家は、山の中の田舎です。

有名な山はないのですが、
周りをぐるりと低い山に幾重も取り囲まれています。

小学校には歩いて1時間ほどかかるので、
夏休みなどはほとんど同じ集落の友達と遊んでいました。

私の同級生は女子男子2人ずつでした。

拍手[2回]

でも、いつもは年齢は関係なく、
中学生に面倒を見られつつ、皆で遊ぶのです。

でも、その日集まったのは同級生4人だけでした。

何して遊ぼうかと相談しているうちに、誰が言い出したのか、
海を見たいということになりました。

いつも皆と上って歩く山の、
もう一つ先の山へ登ったら絶対海が見えるはずだ。

何の根拠もないのに皆そう思い込んで、
おにぎりとお菓子、水筒を持って出発しました。

山は杉の木を植えてる場所と、
雑木の森にキレイに別れていて、
その境目が道になっていて、迷うことなく歩けます。

途中何度も寄ったことのある、
水のわき出ていて昔水晶が取れたという洞穴の近くの、小さな祠に手を合わせて、
先にどんどん歩いていきました。

遠足くらいしか海に行ったことがなかったので、
皆わくわくしながら、海の話をしながら歩きます。

やっと着いたときには、
お昼はとうにすぎていました。

そして、山の上からきらきらと光る海が見えます。

見晴らし台などないので、
木に登っておにぎりを食べながら、
夏の日差しに輝く海を十分楽しみました。

そして、またてくてくと歩いて帰りました。

帰って、両親や祖父母に言うと、

「何馬鹿なこつ言っちょる」

と笑われました。

兄などは地図帳を持ってきて、
絶対海など見えないことを説明してくれました。

ただ、その頃はまだ生きていた曽祖母だけが、

「よかもんを見せっもろてよかったね」

とにこにこと笑ってくれました。

もちろんその後に皆で行ったときは、
海などなく次の山が見えるだけでした。

現在、私だけが県外へ嫁に行き、時々帰ってくると、
同級生同士で結婚した友人宅によばれます。

色んな話をしながら、時々ふと誰かが

「海奇麗だったよね」

と口に出すと、
あの木々の間から見た海を思いだします。

PR

コメントを投稿する

HN
タイトル
メールアドレス
URL
コメント