【ほん怖】ほんのりと怖い話まとめ - 【ほん怖】夜の海に潜った

忍者ブログ
【ほん怖】ほんのりと怖い話をまとめました!「怖い話は好きだけど、眠れないほど怖い話は読みたくない!」そんなあなたにぴったりな『ほんのりと怖い話』をお楽しみください。
[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【ほん怖】夜の海に潜った

スポンサーリンク


磯釣りをしていたとき、
地元のおっさんに聞いた話。

その磯ではイセエビが良く取れるらしく、
昔、友達と一緒に夜の海に潜ったことがあるんだって。

エビってのは基本的に夜行性らしく、
昼潜るよりは夜潜る方が簡単に取れるらしい。

拍手[2回]

まあ、そんな訳でおっさんとその友達は、
ライトとカゴを持ってその磯に潜ったわけだ。

しかし、その日はなぜかエビが全然取れない。

変だなあと思いながらも、
仕方が無いので場所を変えることにしたんだって。

友達が言うには、
近くに普段陸からは姿が見えない水没している洞窟があって、
ちょっとした穴場なんで、そこならいるかもしれないってことらしい。

おじさんは、洞窟は怖いんじゃないかと少し思ったんだけど、
どうせ暗闇なのは一緒だからってことでまあ反対もしなかった。

それで、その洞窟に着いてみたら、
まあいるわいるわエビが。

あっという間に籠が万杯になった。

で、ふと冷静になってみたら、
なんだか様子がおかしくなってたんだってね。

潮の流れが異常に速くなっている。

洞窟の入り口から内部に向けて。

要するに、おっさんが外に出るには、
激しい潮の流れを遡らなくてはいけない状況になってたわけだ。

おっさんは凄くあせったらしい。

なにせ、外に出ることはもとより、
その場から流されないようにするだけでも大変な勢い。

しかも流れはますます速くなってきている。

死の予感を感じたおっさんは、
カゴを捨てて石にしがみついたんだけど、
すぐに持ちこたえられなくなってライトも捨ててしまった。

滅茶苦茶怖かったってね。

でも、本当に怖くなるのはその後。

しばらく石にしがみついていると、
急に『グイ』と足を何者かに引っ張られた。

おっさんはパニックに陥りかけたけど、
死に直面していて気が張っていたんだろうね、
なんとか正気を持ちこたえることが出来たらしい。

そのおかげなのか、
おじさんは足を引っ張る力がどこか単調なのに気づいたんだって。

で、おじさんは

『これはビニール袋とか海草が足にひっかかって、
それが流されているだけでは?』

と推理したわけだ。

ダイバーってのは、
伊達なのかなんか知らんけど昔からナイフを携帯しているのが普通で、
そのナイフで足元を何回か振り回してみたんだってさ。

すると案の定、足がスッと軽くなって、

『ああ、やっぱりゴミかなんかだったんだ』

っておっさんは安心出来たらしい。

その後は暫らく何も起こらなくて、
やがて海流も弱まり始めた。

おっさんは海底にナイフを突き刺したりしながら、
ようやく外に出ることができたんだって。

海岸に上がってみると、
先に海から上がっていた友達が仲間を数人連れて、
オッサン救助の準備をしていたところだったそうだ。

仲間はすぐにおっさんを見つけてくれて、
おっさんも皆の方へ近寄っていったんだけど、
何か様子がおかしい。

自分の無事を喜んでくれるはずなのに、
何故かライトをこっちに向けたまま固まっている。

どうやら自分の右手辺りを凝視しているみたいだ。

おっさんが『?』と思って自分の手を見ると、
今まで無意識にずっと握っていたナイフに、
長い髪の毛がびっしりとからみついていたんだってさ。

この話を聞いた後で、俺がおっさんに

「それは怖かったでしょう」

と言ったら、

「うん、だからもう海に潜ったりはしないよ。
でも、好きだからね海が。釣りは止められないね。
でもさ、時々、洞窟で引っ張られた時のような『グイ』って引きがあって、
そういう時はすぐに糸を切っちゃうね。
おどかす訳じゃないんだけど」

だってさ。

PR

コメントを投稿する

HN
タイトル
メールアドレス
URL
コメント
無題

ダイバーがナイフを持っているのは義務だからですよ