【ほん怖】ほんのりと怖い話まとめ - 【ほん怖】彼と俺

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【ほん怖】ほんのりと怖い話をまとめました!「怖い話は好きだけど、眠れないほど怖い話は読みたくない!」そんなあなたにぴったりな『ほんのりと怖い話』をお楽しみください。
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【ほん怖】彼と俺

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彼とは気が合うわけではなかったが、
なぜか一緒に山へ行く機会が多かった。

互いに、何となく付き合いづらい奴だと思いながら、
俺は彼の技術に何度も助けられ、
彼は俺の身軽さに引っ張られて山をうろついていた。

同じテントの中、
ほとんど黙り込んでいた。

沈黙が心地良い相手ではなかったが、
無理に会話しても、
かえって気詰まりになる。

拍手[3回]

おそらく、一番実のある会話は、

「明日は何時起き?」

「4時くらいでいいべ」

そんなところだ。

いつの間にか彼と俺は、
同じような時期に、
同じような怪我をするようになった。

彼が泥酔して階段で転倒し、
右足首を捻挫すれば、
俺は俺で沢歩きの最中に転落し、
右足首を捻挫した。

彼が山で落石を左目に喰らい、
視力を低下させた頃、
俺の左目の視界は、
少しだけ白く霞むようになった。

眼科で診察を受けたが異常は見つからず、
原因は不明だった。

彼がバイクで転倒し、
両手に火傷のような怪我を負った翌日、
山へ行っていた俺は、
ザイルによる荷揚げの最中にザイルが滑り、
その摩擦で掌に火傷を負った。

やがて彼は、仕事中の事故で死んだ。

産業用機械の保守作業中に機械に巻き込まれ、即死だった。

その日、俺は山で地滑りに遭い、危うく避け、無傷だった。

俺の右足首は、捻挫の後で太くなり、動きが悪くなった。

左目の視界は、今でも少し霞んでいる。

掌の火傷の痕は、ほとんど残っていない。

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