×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
【ほん怖】ほんのりと怖い話をまとめました!「怖い話は好きだけど、眠れないほど怖い話は読みたくない!」そんなあなたにぴったりな『ほんのりと怖い話』をお楽しみください。
| |
スポンサーリンク
彼とは気が合うわけではなかったが、
なぜか一緒に山へ行く機会が多かった。 互いに、何となく付き合いづらい奴だと思いながら、
俺は彼の技術に何度も助けられ、
彼は俺の身軽さに引っ張られて山をうろついていた。 同じテントの中、
ほとんど黙り込んでいた。 沈黙が心地良い相手ではなかったが、 無理に会話しても、 かえって気詰まりになる。 おそらく、一番実のある会話は、
「明日は何時起き?」
「4時くらいでいいべ」
そんなところだ。
いつの間にか彼と俺は、
同じような時期に、 同じような怪我をするようになった。 彼が泥酔して階段で転倒し、
右足首を捻挫すれば、 俺は俺で沢歩きの最中に転落し、
右足首を捻挫した。 彼が山で落石を左目に喰らい、
視力を低下させた頃、 俺の左目の視界は、
少しだけ白く霞むようになった。 眼科で診察を受けたが異常は見つからず、
原因は不明だった。 彼がバイクで転倒し、
両手に火傷のような怪我を負った翌日、 山へ行っていた俺は、
ザイルによる荷揚げの最中にザイルが滑り、 その摩擦で掌に火傷を負った。 やがて彼は、仕事中の事故で死んだ。
産業用機械の保守作業中に機械に巻き込まれ、即死だった。
その日、俺は山で地滑りに遭い、危うく避け、無傷だった。
俺の右足首は、捻挫の後で太くなり、動きが悪くなった。
左目の視界は、今でも少し霞んでいる。
掌の火傷の痕は、ほとんど残っていない。
PR コメントを投稿する
<<【ほん怖】雲取山の闇 | ブログトップ | 【ほん怖】大きな傷を負った犬>> |