【ほん怖】ほんのりと怖い話まとめ - 【ほん怖】托鉢の僧侶

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【ほん怖】ほんのりと怖い話をまとめました!「怖い話は好きだけど、眠れないほど怖い話は読みたくない!」そんなあなたにぴったりな『ほんのりと怖い話』をお楽しみください。
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【ほん怖】托鉢の僧侶

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海の話です。

本土の漁村の沖には島があり、
そこにも人が住んでいました。

比較的大きな島で、
全体に集落が五つほどありました。

その島の最も大きな集落に、
ある日、托鉢の僧侶がやって来ました。

拍手[2回]

初老で痩せた彼は、
静かに家の前に立って経を唱えます。

なにがしかの施しをする者もいましたし、
無視する者もいました。

彼は、無視されたら静かにその家の前を立退き、
次の家にいって経を唱えながら立つのです。

そうして集落で一軒一軒まわって、
次の集落に徒歩で向かいます。

十日ほど見かけられましたが、
その後、姿を消しました。

ああ、船で本土に帰ったのだな、
と皆思ったそうです。

直後、島のAさん(男)が死にました。

年寄りでもなく元気だったのに急に熱をだして死んだ。

それから1年経って、
またその旅の僧侶が島にやって来ました。

一年前と同様に、
島の集落を一戸一づつ回りました。

すでに秋口になっていました。

彼が去ると、今度はBさんが死にました。

Aさんとは別の集落の人です。

村人たちに噂がたち始めました。


「あの坊さんは、
どこからやってくるのだろう?」

各集落の人が会って話をしても、
だれもその僧侶を船に乗せてきたものがいないのです。

さらに、彼らはこのようにも考えました。

「あの坊さんが来ると、
必ず島のものがだれか一人死ぬ」

三年目に、
また僧侶がやって来ました。

島の人々は恐れ、
不安が広がりました。

二度あることは三度ある。

また誰かが死ぬのではないか?

一体この僧侶はどうやって島に来て、
どうやって帰っていくのか?

島のどこに寝泊まりしているのか?

もうこの僧侶に施しをする者もいませんでした。

家のなかから厳しく

「なにもでないぞ!」

と叫ぶのが常でした。

島の人々は、
僧侶の寝泊まりしている場所を探しましたが、
どこにもそのような跡はない。

僧侶のあとをつけていく者もいましたが、
彼は山の斜面を驚くような速さで登って行き追手を振り切ります。

その後、島の裕福な家の長男が死にました。

島の人々は、
本土の村で真剣に僧侶について尋ねました。

だれが島に彼を連れてくるのか?

しかし、どの村でも

「そんな坊さんは見たことがない」

といいます。

何年もそのような僧侶はどこにも来ていなかったのです。

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