【ほん怖】ほんのりと怖い話まとめ - 【ほん怖】竹林の手

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【ほん怖】ほんのりと怖い話をまとめました!「怖い話は好きだけど、眠れないほど怖い話は読みたくない!」そんなあなたにぴったりな『ほんのりと怖い話』をお楽しみください。
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【ほん怖】竹林の手

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ところで、俺の話も聞いてくれよ。

不思議な話って感じなんだが、
ちょいと喋りたくなったんだ。

俺がまだ中学生だった頃、
地元じゃまだ自然がいっぱい残ってた。

川に竹筒を沈めとけばでかいウナギが取れたし、
山にいけば自生してるビワを勝手に取って食えたわけよ。

拍手[3回]

当時、俺は悪ガキだったから、
まあ、ホントはやっちゃいけない事も結構平気でやってたのね。

例えば、人様んちの山に勝手に入って作物を泥棒したりとかね。

で、ある日、竹の子が欲しくなって、
夜中に家族が全員寝たのを見計らって、
明け方こっそり抜け出したのよ。

まだ辺りは真っ暗だったけど、
俺は全然平気。

ポケットライトを持ってたけど、
家族に気づかれちゃ困るから、
それも消して山へ出かけた。

そこら一帯は遊びつくしていたから、
自分の庭みたいなもんで、
俺にとっちゃ星明りで十分なわけ。

そんで、かねてから目をつけてた竹林に行って、
いよいよ竹の子探し。

そこの竹林の所有者ってのが、
また怖いジジイでさぁ、見つかったら最後、
鎌もって追いかけてくんだよ。

いや、もうすんごい剣幕でさ。

夜中でも見張ってるから、
ありゃ一種の病気だね。

で、そこでライトを初めて点けたのね。

明かりが漏れないように手の平で隠して。

地面を這いつくばって微妙な土の盛り上がりを探すの。

竹の子は土の上にまだ顔を出さないうちに掘り出して、
生を醤油で食うのがうまいのよ、

これ最強。

俺の頭はもうその事だけしかないのね。

はあ~竹の子食いてー!って。

そんで、見つけましたよ。竹の子。

かすかに土が盛り上がってんの。

俺はもうにんまりしちゃって、
ライトを消して、
もちジジイに見つからないようにね、

いそいそとスコップで掘り始めたわけよ。

掘ってると、
竹の子のとんがりの部分が出てきました。

でも、ちょっとおかしいのよ。

手触りっつうのかな、
形が妙なのね。

ごつごつしてるっつうか。

なんか俺、嫌な気がして、掘るのやめたのね。

で、ペンライト点けた。

そしたら、それ…爪があるのよ。

もろ人間の爪。

指だったのね、それ。

人間の手が、
指先すぼめたようになって、埋まってたの。

指の色は黒くなっちゃって、
もう相当時間たってる。

俺、悲鳴上げた。

死体だ、死体だ、死体だ!って、
もう頭ん中パニック。

俺、その時わかっちゃったんだ。

なんでジジイがいつもここを見張っているのか。

殺したの…ジジイだ。

…俺、ぞっとした。

そん時の俺は、とにかくばれない様に、
ここに来た証拠を消す事しか頭になかった。

もういっぺん死体を埋めて逃げ出す。

ただそれだけ。

だけど埋める前に、
ほんとに人間の手だったかどうか確かめなくっちゃって思って、
怖いの我慢してもう一度ペンライトを当てたの。

だけど、どっからどうみても死人の手。

でもそん時、突然手が動いた。

蛇みたいにすばやく、シュシュッ!!って。

あっと思ったら、
俺、右手をつかまれてた。

俺叫んだ。

うわあーーーーっ!って。

たぶん泣いてたと思う。

無理やり腕ひっぱった。

このまま捕まったら、
殺されると思ったから。

そしたら泥で滑って、
絡みついてた指がはずれたんだ。

指は俺が持ってたペンライトをつかんで、
穴にひっこんだ。

明かりでペンライトが穴に吸い込まれるのが見えたんだけど、
次の瞬間、「ベキベキッ」ってすごい音して、
ペンライトひしゃげちゃった。

そのまま真っ暗になった。

俺逃げました。

よく知ってたはずの山なのに、
どこをどう走ってるんだかわからない。

気づいたら、沢ん中に座り込んで泣いてた。

水で尻までびちゃびちゃになってた。

顔くしゃくしゃにして、
声上げて泣いてた。

そしたら、急に体をつかまれた。

「がしっ」て、わしづかみにされた。

俺、ひーーってかすれるような声出して、
死に物狂いで抵抗した。

そしたら、

「大丈夫だ、大丈夫だ」

って声がしたの。

それ、ジジイだった。

俺、近づいてくる水音さえ気がつかなかったらしい。

ジジイ、すげえ優しかった。

「よかったな、よかったな」

って、何度も俺を抱きしめた。

ジジイに送られて、俺、家まで帰った。

お袋はすげえ怒ったけど、
親父はなんも言わなかった。

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