【ほん怖】ほんのりと怖い話まとめ - 【ほん怖】飛弾の高山祭を見物に行った

忍者ブログ
【ほん怖】ほんのりと怖い話をまとめました!「怖い話は好きだけど、眠れないほど怖い話は読みたくない!」そんなあなたにぴったりな『ほんのりと怖い話』をお楽しみください。
[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【ほん怖】飛弾の高山祭を見物に行った

スポンサーリンク


今は昔。

頃は春、飛弾の高山祭を見物に行った時のこと。

市内からほんの数キロ離れた大きな民宿の、
川沿いの離れがその日の宿だった。

飛弾には旨い地酒が多い。

我ら呑んべぇライダー3人組は、
昼間求めておいた『食後の酒』だけでは足りず、
とうとう『土産用の酒』までスッカラカンに空けてしまった。

拍手[2回]

まだ呑み足りないが、
帳場は既に閉じている。

足はあっても店がない。

「しょうがないから寝るべ」

となって布団に入り、電気を消した。

互いの寝息の他には、
川のせせらぎや木の葉摺れぐらいしか聞えない。

なんだか、
耳鳴りしそうなぐらい静かな夜だった。

…少しウトウトしかけた時だった。

川のせせらぎに混じってなんだか、
シャキシャキ、かすかな音がする。

木の葉摺れとは違う、妙に規則正しい音で、
そこにかぶせて何やらはっきりとは聞きとれないが、
爺さまの声のようなものも聞える。

何だろう?と思ったら、
二人も起きていたらしい。

「何か聞こえる…」

「なんだ、あれ?」

「わからん」

悩んでいると、唐突に一人が

「明日、朝御飯、おこわかなぁ」

と言いだした。

「はぁ?」

我々二人は訳が分らない。

「だって、今頃、米研いでるし…」

ああそうか、そう言われれば米を研ぐ音に聞える。

爺さまの声のようなものはきっと水道の音だ。

こんな静かな所だからよく響くんだ。

納得した我々は、
それきり音を気にする事なく眠りに就いた。

次の日、宿の人に夜中の米研ぎの話をしたら、
こう言って笑われた。

「夜中にそんな事しません。それは“小豆洗い”です」

…知らない間に、妖怪と出会っていたらしい。

PR

コメントを投稿する

HN
タイトル
メールアドレス
URL
コメント