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【ほん怖】ほんのりと怖い話をまとめました!「怖い話は好きだけど、眠れないほど怖い話は読みたくない!」そんなあなたにぴったりな『ほんのりと怖い話』をお楽しみください。
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春の新緑の中、
単独で下山していました。 山は登る時は意気揚々としていますが、 下りは虚しいものがあります。 また、単調な下りは疲れるものです。 ただ新緑の林の中を黙々と降りて行きます。 気づくと10m程先に、
自分と同様に単独で下っている人がいます。 人間、単調な中にも目標があると元気づくものです。 よし、追いついて声をかけてみるか、と考え、 ペースを少し上げました。 相手もそれに気づいて、 ペースアップしたようです。 もう少しペースを上げてみましたが、 相手との差は縮まりません。 とうとう疲れて立ち止まり、 小休止を取ることにしました。 すると、前にいる人も休んでいます。 顔は見えないのですが、 モスグリーンのジャンパーを着ている男性でした。 その時、以前誰かから聞いた話が頭をよぎりました。 『山に住む霊に付いていくと行方不明になる』 という話でした。 聞いたときにはバカにしていた怪談話ですが、 このときばかりは、
思い出した途端に全身から冷や汗が噴き出してきました。 とにかく出立する事にして、 立ち上がりました。 前方のモスグリーンのジャンパーの男も、 立ち上がって歩き出そうとしています。 前方の男を見ないようにして、 歩き出しました。 1時間以上は歩き続けた頃、 前方から人の声がしました。 一瞬ドキッとしましたが、
見ちゃいけないと思い、 なるべく下を見つめて歩き続けました。 声は段々近づいてきて、 何を言っているか分かるようになりました。 どうやら、登山途中の二人連れが声を掛け合っているようです。 顔を上げて声の方向を見ると、 ジャンパーの男ではなく初老の夫婦でした。 すれ違いざま挨拶を交わし、 何人くらいの下山者と会ったか聞きました。 パーティーが二組、 単独は自分が初めてと言っていました。 前方を見ると、もう誰もいません。 時計を見ると、 最初にモスグリーンのジャンパーの男を確認してから、 10分しか経っていませんでした。 PR コメントを投稿する
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