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【ほん怖】ほんのりと怖い話をまとめました!「怖い話は好きだけど、眠れないほど怖い話は読みたくない!」そんなあなたにぴったりな『ほんのりと怖い話』をお楽しみください。
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北海道のO沼で彼女とボートに乗っていた。
ふと気がつくと、周りの山が動いている。
まるで走っている列車の窓から見える景色のような動きだった。 でも、そのときボートは止まっていたんだ。 回っていたわけでもない。 なぜって、他のボートとの位置関係は普通に見えたから。
気のせいかと思ったのだが 彼女もその異変に気付いていた。 沼の周りに植えられていた並木や、 その向こうに見える林の位置はそのままに、 山だけが移動している。 雲も走って、 けっこう風の強い午後だった。 見ているうちに気分が悪くなってきた。 目が回ったときの感覚に似ている。 結局、予定時間を繰り上げてボートを下りた。 地面に足をつけたときには正直ホッとした。 見上げると山はもう動いていなかった。 あれは何だったのか、いまでもわからない。 無理に理屈をつければ、 そのとき風が吹いていて、
水面に小さな波が立っていた。 風で沼全体が、 水面に浮かんだボートごとターンテーブルのように回転して、 そのように見えたのかとも思うのだが、 それでは、沼の周りの木々が動かなかった説明に窮する。
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