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【ほん怖】ほんのりと怖い話をまとめました!「怖い話は好きだけど、眠れないほど怖い話は読みたくない!」そんなあなたにぴったりな『ほんのりと怖い話』をお楽しみください。
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岩壁の基部でルートが分かりづらい時、
残置ハーケン(※岸壁の割れ目に打ち込んで使用する杭)を探すというのは、
ひとつの方法だ。 残置ハーケンというのは、 以前に誰かが打ち込んだハーケンで、 それがぽつぽつ見受けられるようなら、
そのルートは誰かが登ったという目安になる。 ある岩場でルートを探すうち、 残置ハーケンを見つけた。 古いのか、打ち方が悪いのか分からないが、
ハーケンが浅く、抜けかかっていて、 まさかとは思うが、うっかり掴まろうものなら、
墜落しかねないほど危うく見えた。 この際、抜いておこう。 屈み込み、指をかけ、引き抜こうとしたハーケンは、 簡単に抜けそうな感じがしたので、指の力を緩めた。 と、ハーケンが何かに引っかかり、止まった。 ぐぐっ、指先に力を感じた。 ハーケンが岩に潜り込む。 目の前、引き抜こうと指をかけたハーケンが、 まっすぐ岩の割れ目に刺さっていくのが見えた。 そして数秒。 どこをどうしようと、 このハーケン、もう抜けそうになど見えない。 蹴飛ばしてみたが、ぐらりともしない。 「やる気出したみたいだな」 冷静なのか、動転しているのか、 友人が馬鹿なことを言って登り始め、俺も続いた。 彼も俺も、二度とこのハーケンの事を口にしなかった。 PR コメントを投稿する
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