【ほん怖】ほんのりと怖い話まとめ - 【ほん怖】山に供え物をする

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【ほん怖】ほんのりと怖い話をまとめました!「怖い話は好きだけど、眠れないほど怖い話は読みたくない!」そんなあなたにぴったりな『ほんのりと怖い話』をお楽しみください。
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【ほん怖】山に供え物をする

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森林管理の仕事をしている古い友人は、
年に数回、山に供え物をする。

供えるのは串団子で、
古くからの習慣だという。

朝、山に入る時、
道沿いの巨木の根元に団子を3本置いていくと、
夕方には串だけが残されている。

拍手[1回]

団子は特別なものではなく、
最近は、コンビニで3本100円で売っているような、
菓子メーカー製の団子を供えているとの事だ。

そんなものでいいのかと、
こちらが心配してしまうが、
供えている当の本人はそんな事に頓着しない。

そもそも、供えている相手が山の神様なのか、
あるいは精霊のような存在なのか、
それさえ知らずに供えているというのだから、
もはや有難みも何もない。

供えて何を祈るかと思えば、
取り立てて祈りもせず、

「はい、どうぞ」

その一言だけを心のうちで、
そっと添えるのだという。

先代から引き継ぐ時に、
彼は詳しい話を聞いたはずだが、
細かい事は覚えていないと、
嘘か本当か判然としない顔で言う。

朝、団子を供えて夕方に串を持って帰る。

持ち帰った串は、
一般ごみとして捨ててしまう。

それを年に数回繰り返す。

それだけの事だと彼は言う。

ただな、と笑った。

一度だけ、串を持ち帰るのを忘れたんだ。

いやもう、懲りたよ。

串を持ち帰り忘れた翌朝、
玄関を出て、鍵をかけようとした時、
鍵穴に竹串らしきものが、
ぐちゃぐちゃに差し込まれているのに気付いたのだという。

鍵は交換せざるを得ず、
かなり痛い出費となった。

その後、どんなにせがんでも、
この話だけはしてくれない。

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