【ほん怖】ほんのりと怖い話まとめ - 【ほん怖】涙が溢れ出る場所

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【ほん怖】ほんのりと怖い話をまとめました!「怖い話は好きだけど、眠れないほど怖い話は読みたくない!」そんなあなたにぴったりな『ほんのりと怖い話』をお楽しみください。
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【ほん怖】涙が溢れ出る場所

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学生の頃、初めて行った時から続く異変だ。

痛みも痒みも、感情の揺れも無く、
突然涙が溢れ出し、
10分ほどの間、流れ続ける。

そんな場所が、俺にはある。

沢の途中から脇の斜面へルートを変え、
30分ばかり急斜面を直登すれば、尾根へ出る。

尾根まであと数分。

拍手[2回]

息は切れ、
雪の直前という季節でさえ、
汗まみれになる。

そんな斜面に、
幅2メートル弱の石畳が現れる。

長さは10メートルも無い。

緑色の苔に覆われた、古い石畳。

大きさの揃った四角い石がきちんと並び、
斜面を斜めに横切るように敷き詰められている。

工事を途中で放り出したように見えるが、
それもよく分からない。

何かの領域を示すために石畳を敷いたのだろうか。

ともかく、それを見た途端、涙が出てくるのだ。

にじむような気配も何も無く、
突然に涙が溢れ出てくる。

初めて行った時から、ずっとそうだ。

地図を開くと、
その場所がはっきり分かった。

沢のどこから斜面に入ったのか、
目の前の石畳がどこに敷かれているのか、
それがはっきり分かった。

国土地理院発行、
縮尺5万分の1の地図で。

同行者が居れば、
一様に不思議な顔をする。

俺だけが涙を流すのだから、
不思議には違いない。

アレルギーか何かだろうか。

理由が分からず、
確かめたくて何度も行った。

道も何も無いのに、
一度として迷うことはない。

正確に、石畳の脇へ出る。

その度に涙を流し、
俺は帰ってくる。

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