【ほん怖】ほんのりと怖い話まとめ - 【ほん怖】某国のバス

忍者ブログ
【ほん怖】ほんのりと怖い話をまとめました!「怖い話は好きだけど、眠れないほど怖い話は読みたくない!」そんなあなたにぴったりな『ほんのりと怖い話』をお楽しみください。
[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【ほん怖】某国のバス

スポンサーリンク


我が家には訳あって母の親友母子が一緒に住んでた。

子の名前をAとするが、Aと俺は本当の兄弟以上に仲が良い。

一緒にいると何かと頼もしいんで、
先日二人で某国を旅してきたんだが、
その国の寂れた観光地で妙なバスに乗ってしまったんだな。

その国ではバスは必ず遅れて来るものだが、
それは定刻通りに来た。

それだけでも十分変なのに、中の様子はそれ以上におかしかった。

拍手[1回]

バスのいたるところに季節外れのサンザシの花が飾られており、
それより気になったのが、乗客達の不自然な態度だった。

一方には酷く暗い顔をした人々がいて、俯いて身動き一つしない。

もう一方には、明るい顔の非常に騒がしい人々。

ヨコハマタイヤみたいな気味の悪い笑顔を浮かべており、
歌ったり喋ったり踊ったりと、やたら陽気に騒いでいた。

楽しそうに見えなくもないが、
どこか排他的な雰囲気を纏う人達で、
声をかけようなんて気には全くならなかった。

暗い人達は、彼らにちょっかい出されても身じろぎせず俯いていたが、
教会の前を通過する時だけ弾かれた様に身を起し、一斉に十字を切ってた。

妙な雰囲気の中、しばらくは我慢して大人しく乗っていたものの、
段々気味悪くなってきて、俺は予定外の所で降車ブザーを押してしまった。

だが、運転手に「まだだ!」と一喝されて、停留所を通過されてしまい、
英語わからん俺の代わりにAが抗議してくれたが、取り合ってくれないようだった。

Aが怒鳴ってても他の乗客の様子は全く変わらなくて、
俺はただ不気味に明るい人たちの顔を見るのが怖くて縮まってた。

で、しばらく口論が続き、イラついたAがふいに煙草に火をつけたんだ。

普段吸うところ見たことないのに、珍しいなと思っていたら、
それまで俺達のことなんて無視してた明るい人たち全員が、
突然ヨコハマタイヤ顔をこっちに向けた。

そして同時に表情を一変させ、真っ赤になって怒り出し、
英語じゃない聞いたことのない言語で喚きながら、俺達に詰め寄って来た。

んで、俺とAは車外に引きずり出され、まさかのフルボッコw
かなりの距離を走って逃げたのに、奴らは群がるように追いかけてきた。

無我夢中で走り続け、Aに腕引っ張られてトゲトゲした生垣乗り越えると、
ようやくあきらめたようで、ゾロゾロとバスの方に戻って行った。

俺には何が起こったのか、本気で訳分からなかった。

その後立ち寄った教会で、神父さんにそれまでのこと話したら、
(怪しい目で見られはしたが)
こんなこと教えてくれた。

「そいつらはこの世のものではなく、明るい顔をしたのはきっと悪いスピリット。
暗い顔をしていたのは、運悪く奴らに捕われた人間の魂で、
死ぬこともできぬまま、イエスに救いを求め続けているのだろう」

その辺りでは、

「定刻の針の上に訪れる者は禍を連れてくる」

という言い伝えがあった。

ほんの数十年前までは、俺達と似た体験をしたなんて話も多かったそうで、
帰ってこられた人もいるし、定刻のバスに乗ったまま行方不明の人もいるんだとか。

助かるのは普通敬虔なキリスト教徒だけだから、
俺達が助かったのは実に運が良かったと言われた。

なんでも、大抵のスピリットは火を嫌うから、
煙草を吸う人間を自分達の乗り物に乗せておきたくなかった。

また、ハリエニシダ(俺達が乗り越えた生垣のトゲトゲ)は、
昔から魔除けになるといわれているから、
生垣を乗り越えてきたのもよかったのかもしれない、と。

なんで非喫煙家のくせに煙草吸おうとしたのか、
また、無茶して生垣乗り越えたりしたのかAに聞いたが、

「すごい偶然でしたね(`・ω・´)ノノノシ!」

ということらしい。

ちなみに、タコ殴りにされたというのに、
俺達二人とも引っ掻き傷や小さな痣位しかなく、
生垣を超えた際の傷のほうが酷かった。

どう説明すればいいか見当もつかず、結局警察にも届けてないし、
生垣の修復はもちろんやらされたし。

そして俺が持っていたバッグには、
子供よりも小さい足跡がたくさん付いていて、
怖いから即効捨てて買い替えたし(´;ω;`)

「ほんのりと怖い話」の関連記事

【ほん怖】不幸の前に現われる
【ほん怖】暗い田んぼ
【ほん怖】井戸の埋め立て
【ほん怖】土地の因縁

PR

コメントを投稿する

HN
タイトル
メールアドレス
URL
コメント