【ほん怖】ほんのりと怖い話まとめ - 【ほん怖】彼岸花畑

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【ほん怖】ほんのりと怖い話をまとめました!「怖い話は好きだけど、眠れないほど怖い話は読みたくない!」そんなあなたにぴったりな『ほんのりと怖い話』をお楽しみください。
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【ほん怖】彼岸花畑

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俺はその晩、
友達の家から自転車に乗って帰路についていた。

時刻は十時ごろ。

田舎なので、
周りは田んぼと川しかなかった。

満月がめちゃくちゃきれいで、
電灯なんかなくても地面を照らしてくれている。

空気はひんやりしていて乾いている。

風も少し吹いていて、
これがまた気持ちいい。

とにかく、
いつまでも自転車で走っていたい様な夜だった。

で、俺は少し遠回りして帰ろうと思った。

拍手[2回]

地元の道はほとんど知ってるし、
月が明るいので道もよく見えるから、
道に迷う心配は無かった。

さっきも書いたように月が綺麗だったから、
極力月を見ながら走ってた。

そのせいかいつの間にやら全く知らない道に出ていて、
道路も舗装されていないむき出しの地面の上を走っていた。

周りは木々が茂っていて、
せっかくの月が見れない。

あれ?こんな道あったけなー?とか考えつつも、
少し怖かったので全力で駆け抜けた。

すると、急に木が無くなって視界が開けた。

そして眼に入ってきたのは、
月に白く照らされている地面。

道は一本道で、
はるか彼方まで続いている。

道のほかには彼岸花しかなかった。

こちらも見渡す限り続いていて、
彼岸花畑の中に一本白い道を引いているような感じ。

いま思うと明らかにおかしいが、
そのときの俺はその光景が綺麗過ぎて感動しかしていなかった。

それからはずーっとその一本道を、
自転車でゆっくりゆっくり走っていた。

どれくらい走ったのか、
いつの間にか空は白み始めていて、
彼岸花畑もなくなっていて、
道も知っている道に出ていた。

俺は夢から覚めたように急いで家に帰ると、
母が起きてきた。

そして、俺を見た瞬間

「どこいってたん!?あんた!!
ちょっとお父さん!!おきて!!」

と大騒ぎ。

近所の人にも電話をかけている。

そんな、一晩帰らなかったくらいで・・・と思ったが、
どうも慌て方が変だ。

いろんなトコに電話をかけている。

すこし落ち着いて、

「おまえ一週間もどこいっとたんじゃ!」

と親父に怒られた。

会う人みんな

「一週間も~」

と言う。

頭の中は???だらけだったが、
新聞の日付を見て愕然とした。

なんと、俺が友達の家を出た夜から確かに一週間たっている!!

なんで?一晩しかたってないはずなのに??

その後いろんな人にどこに行ってたのかと聞かれたが、
俺が聞きたいくらいだ。

あの彼岸花畑はいったいなんだったのか・・・

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