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【ほん怖】ほんのりと怖い話をまとめました!「怖い話は好きだけど、眠れないほど怖い話は読みたくない!」そんなあなたにぴったりな『ほんのりと怖い話』をお楽しみください。
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私が九歳の時に、泰奈という子がいた。
泰奈と私は同じ団地に住んでいて、
学級も同じだったのでよく遊んだ。 泰奈は他の子よりも随分小柄で痩せていて、
三つ下の私の妹くらいしかなかったけれど、 よく食べるし快活だったから、特に気にはしていなかった。
泰奈には給食の時間、
嫌いなものをよく食べてもらった。 体が小さいのにいくらでも食べるから、 みんな面白がってパンとかをあげていた。 泰奈も楽しそうだった。 泰奈は三つ編みの先を噛む癖があって、
授業中耳をすますと、 ざりざりと音が聞こえてきた。 よっぽどおなかが空くんだねーと言うと、
えへへと笑った。 冬休みにはいる前くらいに、
泰奈は急に学校にこなくなった。 インフルエンザをこじらせたらしく、
しばらく学校には来ないという。 私は泰奈の家まで学級だよりを持って行ったりしたが、
留守にしているか、ひどく疲れた様子の泰奈のお母さんが無愛想に応対するだけだった。
それから新学期が始まって、
二月も半ばになった頃、泰奈が死んだ。 これは後で聞いたけれど、
泰奈が死んだ時、泰奈の家には誰もいなかった。 “出かけていた”お母さんが暫く振りに戻ってきた時には、
もう死んで数日経っていた。 解剖された泰奈の胃からは、
大量の布団の綿と髪の毛がでてきたという。 病気になる前から、
日常的に食事を与えられてなかったこともわかった。 それから、授業中に時々、
泰奈が三つ編みを噛むような音がすることがあった。 今ならネグレクトという言葉もあるだろうが。
何となく思い出した。
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