【ほん怖】ほんのりと怖い話まとめ - 【ほん怖】水道が怖い

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【ほん怖】ほんのりと怖い話をまとめました!「怖い話は好きだけど、眠れないほど怖い話は読みたくない!」そんなあなたにぴったりな『ほんのりと怖い話』をお楽しみください。
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【ほん怖】水道が怖い

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中学3年の時、
同じクラスになったNと言う女の子と仲良くなりました。

おっとりして優しくて、
女の子らしい良い子でした。

普段は物腰柔らかく笑顔を絶やさないNでしたが、
何故か水道を前にすると怯えた表情になり、
口数も少なくなるのです。

水道から出る水と水道その物が苦手であって、
飲み水やプールなどは大丈夫だったようです。

水道嫌いの理由を聞いても、
何も教えてくれませんでした。

拍手[2回]

夏休み。私とNは、
当時所属していた茶道部の練習をしに学校に来ていました。
練習と言っても、お手前をやったり、
簡単なお茶会を開催するだけなのですが。

水道に恐怖心を抱いていたNに代わって、
別の部員がお湯を沸かしていました。

その日も、私と後輩部員が一緒にお湯を沸かしました。

Nはいつもと変わらず穏やかな様子でした。

さて、お茶会も和やかなムードで終わり、
片づけの時間になりました。

茶碗や水差しは、
作法室の隣の家庭科室の流しで洗うことになっています。

みんなで手分けして洗い物を運び、
洗う係と布巾で拭く係に分け、
おしゃべりをしながら片づけを進めていました。

Nと同級生のKは、
作法室で別の道具を片づけています。

私達は洗い物が終わると、
家庭科室を出ました。

すると廊下にKがいます。

どうかしたのかと尋ねると、
片付けをしてる最中いきなりNが何事か叫んで、
外に出て行ってしまったと言うのです。

これから今日の反省会があります。

みんなでNを探すことになりました。

私と何人かの友人は、
職員室方面に行ってみました。

しかし、職員室にはほとんど人がいませんでした。

Nも当然いません。

ドアを閉めて廊下を戻ろうとすると、
男の先生の怒鳴り声が聞こえました。

「やめなさい!!」

職員室は校舎の一番東端にあり、
その前の廊下には職員達が出入りする出入り口がありました。

声はその出入り口の向こう側、
つまり外から聞こえます。

私達は何事かと、
チラッと外を覗きました。

外には職員用の簡単な靴箱と、
近くに運動部の人が利用する大きな足洗い場と、
沢山の水道があります。

その足洗い場から大量の水が溢れていたのです。

排水溝があるのですが、
それでは間に合わない程の量の水が水道から流れ出ていました。

元々浅い洗い場だったので、
普段から水はあまり出さないように注意されてました。

一番端っこの大きな水道の前に、
Nと先生がいました。

「やめなさい!」

なんとNは、
両手で水道のレバーを思いっきりひねっているのです。

怒鳴りながら先生はNを水道から離そうとしてます。

蛇口からは滝のような水が流れ、
先生もNもずぶ濡れです。

見ると、他の蛇口からも最大量の水が勿体ないほど溢れています。

「出さないと!全部出せよ!!
なくなるまで出さなきゃ!」

とにかく

「出さなきゃ」

と叫びながら、狂ったようにレバーを、
これ以上捻れないという所まで回しているのです。

普段のNからは想像も出来ないような声と表情でした。

何人かの先生が来て何とかNを取り押さえましたが、
なおもNは狂った様に、

「全部出すんだあぁぁぁぁぁぁ!!」

と男のような声で叫んでいます。

声が枯れるまで語尾を

「あぁぁぁ」

と伸ばしています。

なかなか落ち着かないNを保健室に無理矢理運び、
十数分後家の人が迎えに来ました。

私達は不安げに、
家の人の車に乗せられるNを見つめていました。

もはや声が掠れて何を言ってるか分からないけど、
まだ何か呻ってます。

その日以来、
Nは学校に来なくなりました。

噂では受験ノイローゼで、
どこかの精神病院に入れられてしまったんだとか・・・。

Nのいないまま私達は受験を終え、
卒業式を迎えました。

Nが転校した事になっていた事を、
その時初めて知りました。

クラスの寄せ書きをNの家に届けたかったのですが、
既に引っ越していたのです。

数年経った今でも、
水道を見るとたまにNの事を思い出します。

蛇口から流れる水を見ても、
Nが何を怖がっていたのか未だに理解出来ません。

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