【ほん怖】ほんのりと怖い話まとめ - 【ほん怖】うちの兄はトラブルメーカーだった

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【ほん怖】ほんのりと怖い話をまとめました!「怖い話は好きだけど、眠れないほど怖い話は読みたくない!」そんなあなたにぴったりな『ほんのりと怖い話』をお楽しみください。
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【ほん怖】うちの兄はトラブルメーカーだった

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うちの兄はトラブルメーカーだった。

小さい頃、近所の子たちで遊んでたんだけど、
兄が加わると絶対に2派に分かれて喧嘩が始まる。

ずっとそれが兄のせいだとは思ってなかった。

家でも、母と私二人の時は喧嘩なんてしなかったんだけど、
兄が一緒の部屋にいるときに限って母娘喧嘩になる。

拍手[1回]

父と母も普段は仲がいいのに家族団らんで揃うといつの間にか喧嘩になる。

ある時、兄が部活の合宿で数日間家をあけた。

家族の誰も喧嘩しなかった。

母がふと

「お兄ちゃんがいないせいか家の中が静かね」

と言った。

誰かが喧嘩する時は必ず兄がいた。

兄がいない時に誰かが喧嘩したということはなかった。

フラッシュバックのように
過去の誰かの喧嘩と兄の姿が思い出された。

皆が興奮して言い争ってる時も
兄は決して感情を荒げたりしてなかった。

むしろ微笑んだ表情で皆を宥めてた。

たぶん皆、
兄のことを一番喧嘩と縁遠い人間だと思ってた。

私もそう思ってた。

でも喧嘩やイザコザがあるときは必ず兄の姿がそこにあった。

小学生の時のキャンプや修学旅行の時、
クラスが分裂するほどのもめごとが起こったり、
キャンプ半ばで帰る人が出たりした。

そういえば、
兄が参加した行事でトラブルが起こらなかった時はなかった。

だけど証拠はないし、
私に対していつも優しい兄だった。

なのになんでこんな妄想に取りつかれたんだろうと恐ろしかった。

親に言うことも出来ず、
でも黙ってることも出来ず、
祖父にぽろっと言ってみた。

祖父の兄、
父の伯父にあたる人が私の兄にそっくりだったらしい。

とても頭がよくて穏やかで
リーダーシップがある人だったそうだ。

人をとりまとめ、仕切って、
でもそのグループはいつの間にか瓦解、
そのグループのメンバーは最終的には二度と口を利かなくなる。

何度もそういうことを繰り返し、
周囲の人間関係が荒れ野原のようになったそうだ。

そしてある日、
その祖父の兄は失踪した。

荒れた人間関係の結果、
ノイローゼかなにかになった人間にどうにかされてしまったのではないかと、
祖父は思ってるらしい。

ただ、要領もよく商才もあったようで、
それで家族を養ってもくれてたそうだ。

私の兄もなんでもできる。

家族に優しいし、
成績もよくて家の手伝いもする。

スポーツも万能。

なぜそこまで嫌な顔をせずに
ここまでできるのか不思議だった。

祖父が両親と話し合い、
様子を見て、兄と話し合った。

どんな話し合いがあったのかわからないが、

「お兄ちゃんはわかってくれたよ」

と母が言ってた。

それからは一度も家族で喧嘩することもなく、
兄の学校でトラブルも起こらなかった。

社会人になった今、兄は時々警察に行く。

行きつけの飲み屋での喧嘩の目撃証言だったり、
知人同士のトラブルについての仲裁者としてだったり。

必ず事情を知ってる第三者として。

月に1度以上は必ずそういうことがあって、
不安になる。

兄が犯罪を起こしたわけじゃないけど、怖い。

ずっと変わらずいい兄ですが、
一度も妹に暴言を吐いたことのない兄というのは
普通じゃないのでは?と考えたりします。

少なくとも、
物心ついてから兄に意地悪をされたことがない。

これだけ優しくされてるのに、
そういえば私から兄に甘えたことが一度もなかったような気がする。

修羅場というより、
出来のよくない妹の被害妄想です。

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