【ほん怖】ほんのりと怖い話まとめ - 【ほん怖】黒い街宣車

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【ほん怖】ほんのりと怖い話をまとめました!「怖い話は好きだけど、眠れないほど怖い話は読みたくない!」そんなあなたにぴったりな『ほんのりと怖い話』をお楽しみください。
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【ほん怖】黒い街宣車

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俺が中学1年の頃の話。

その頃俺は、某県某市(西の方ね)の団地の4階に、
家族4人(両親と弟)で住んでいました。

団地は街の隅っこの山の上にあったんだけど、
この団地が今考えても結構不気味でさ。

拍手[1回]

ボロいわ、汚いわ、入居者もいないのに棟数だけはやたら多いわで、
ぱっと見で廃墟みたい。

敷地が無駄に広い上に、すぐ後ろは山、前は寂しい住宅街だったから、
夜中になったらもうゴーストタウン同然なんだよ。

夏休み中も、近所のガキが肝試しに使うような場所。

エヴァンゲリオンの綾波レイの住んでいる所みたい、
って言ったら分かる人いるかも。いないか。

まあそんな所だから、廃棟の屋上に人影が見えるとか、人魂が漂っているとか、
そういう怪談話には事欠かなかったよ。

そういうの、俺は結局一度も見えなかったけど。

で、俺が変な体験したのは11月の頭。今よりちょっと早い時期だな。

その日俺は風邪をひいて、学校を休んだ。

熱なんてほとんど無かったはずなんだが、とにかく気分が悪くて、
何を食ってもゲロ、何を飲んでもゲロ、って状態だったと思う。

それと、耳鳴りがヤバかった。

テレビとかで放送禁止用語に被せる「ピー」ってSEがあるけど、
あれに良く似たヤツが、耳の奥でちっちゃく鳴り続けている感じ。

後にも先にもあんな耳鳴りは初めてだったから、良く覚えている。

平日だったから親父とおふくろは仕事、弟は小学校へ行き、
一人っきりになった俺も、午前中は黙って寝ていたんだけど…。

吐き気と耳鳴り以外に体の変調も無かったし、
昼過ぎにはもう退屈して起きちまったのね。

で、テレビみたり漫画読んだりゲームしたりしながら、
時間をつぶしていたんだ。

変な出来事が起きたのは、4時40分ジャストくらい。

時間は多分正確だと思う。

弟がなかなか帰ってこなくて、

「遅ぇなぁ」

って窓際の時計を見上げた記憶があるから。

だから、外の天気もはっきり覚えている。

気持ち悪いくらい西陽が眩しかった。

独りきりの夕方って、夜中なんかよりもよっぽど静かなんだよな。

昔の人が逢魔ヶ時って呼んでいたのも分かる気がする…
不気味な空気が漂っているというか。

あの時も、早く弟に帰ってきて欲しかったんだと思う。

そん時俺は、セガサターンのバーチャファイターに興じていたんだけど、
突然テレビが、音飛びと同時にノイズまみれになったんだ。

ノイズって普通、画面全体をザァーって覆うと思うんだけど、
そん時のノイズはなんか変で、
モニターの真ん中から発生して同心円状に広がっていく…っていうのかな。

うまい事言えないんだけど、
池に石を投げ込んだら波紋が広がる、って感じに似ていた。

ちょっとしたらノイズは消えるんだけど、
しばらくしてまた真ん中が歪む⇒ノイズが外側へ向けて広がっていく、
ってのが何度か続いた。

最初はテレビの故障かなとも思ったんだけど、
あんまし規則的に続くもんだから不気味になってきて。
それでテレビ消そうと思ったら、俺が触るより早く突然電源が落ちた。

もうこの時点で泣きそうになった(と思う)んだけど、
電源が落ちた途端に耳鳴りの音が急にデカくなって、
思い出して勝手に鳥肌立ってきたんだけど…
耳鳴りの音質が明らかに変わったんだよ。

「ピー」っていう高音から、「ブーン」っていう低音に。

ともかく、子供心にもこりゃヤバいって気がして、
テレビから離れようとしたんだ。

そん時、窓の下に何か黒っぽい塊が見えてさ。

そこは団地と団地の間に挟まれた中庭みたいな所で、
小さな公園になっているんだけど、
公園の隅っこに1台、真っ黒でバカでかい車が止まっているんだよ。

街宣車にそっくりだったのをハッキリ覚えている。

あの軍歌とかゴジラ流しながら爆走しているヤツね。

ただ、ボディペイントとか日の丸なんかは全く何もなくて、ただ真っ黒なだけ。

それが西陽の中で、捨てられたように佇んでいるんだ。

で、魅入られたみたいに眺めていると、
暫くしてスピーカーから音が流れ出してきたんだ。

流れてきたのは軍歌でもゴジラでも無く、陰気な声だった。

『チチ(父?)は…○○○、ハハ(母?)は…○○○(○は意味不明)』

みたいな事をブツブツ呟いていた。

何度もチチとハハって言葉が聞こえたから、
同じフレーズを繰り返していたのかもしれないけれど、
なんせ声は小さいし、低くこもっているし、意味は全く分からなかった。

声と連動して耳鳴りも段々大きくなってきて、唸り声みたいになってくるし。
その後なんだけど、
耐えられなくなった俺が泣きながら布団に頭突っこんで、
耳塞いで「あー」って怒鳴って、耳鳴りの音を掻き消しながら暫く耐えていたら、
やっと弟が帰ってきた。

弟に布団を引っぺがされた瞬間は、心臓が止まるかと思ったけど。

で、気付いたら耳鳴りは止んでいて、
窓の外を見ても街宣車の姿はどこにも無かった。

弟に聞いてみても、ありがちなオチだけど、
そんな声も車も知らないって言われた。

以上が俺の経験した中身です。

書いたの見てみると、あんまし怖くないな。

でも、俺個人としてはほんのりどころか、
メチャメチャ怖い出来事でした。

結局あの車が何だったのか分からずじまいですが、
今でも街宣車と夕焼けは苦手です。

団地にはもう誰も住んでいませんが、物自体はまだあります。

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